年末に近づいてくるこの時期ですので、先週あたりから少しづつ確定申告についてのお問い合わせが増えてきました。
申告期限は来年の3月16日(15日が日曜日のため。なお、消費税については3月31日)ですが、きっちりと経営管理して納税を意識されている方は個人の決算期である12月末を意識されますので、そういう 事業主様からは割と早い段階でお問い合わせが入ります。
そして、お問い合わせされる方のほとんどは税理士への依頼が初めての方で、青色申告の届出はしているが、簡易帳簿しか持たれていない方々です。
青色申告には特別控除というものがあり、10万円又は65万円のどちらかです。この青色申告特別控除は簡単に言えば、払ってもいない経費を10万円か65万円引いてもらえるようなものです。
では、「10万円と65万円の違いは?」といいますと、簡易な帳簿しかない場合は10万円。正規の簿記の原則に従ってきちんとした帳簿を作成していれば65万円となります。
後者の「正規の簿記の原則に従ったきちんとした帳簿」の作成には、複式簿記による記帳が必要になりますので、手書きで作成できる簡易帳簿とは違って会計ソフト使用するのが一般的です。(もちろん、手間はかかりますが手書きでも作成可能です。)
ですので、事業主様が作成された簡易帳簿を税理士に依頼して会計ソフトに入力しなおしてもらえば、10万円の特別控除が65万円になり、55万円も経費が増加、すなわち所得が55万円減少します。
個人事業主で初めて税理士に依頼される方々の多くは、所得税率が5%~20%に該当する方がほとんどです。住民税率は10%です。
ということは、減少した所得55万円に対して、最低でも所得税と住民税合わせて15%。多ければ30%も納税が減少するのです。これを金額にすると82,500円~165,000円の節税となります。さらには国民健康保険も減少しますので、ご自身の所得に対して適用される税率からみた節税額の範囲内であれば税理士に確定申告報酬を支払っても損することはないということになります。
もちろん、年初から簡易帳簿も作成せず、最初から税理士に記帳を依頼し、ご自身の手間を省いたうえで65万円の青色申告特別控除を受けるというのも一つの手だと思います。
会計ソフトへの入力は時間と手間がかかりますので、繁忙期に入ると対応できない事務所も増えてきますので、なるべく早めのご相談をお勧めいたします。